CATEGORY | 滋賀
2021.04.29
writer | シガだね編集部
今回は、東近江市にある
畑酒造さんにお邪魔して来ました。
『 大治郎 』を作られている酒蔵さんです。
代表の『 畑 大治郎さん 』に、
製造工程を改めてお聞きして来ました。
日本酒についてまだよく知らない、
もっと詳しく知りたいという方は必見です!
タイトルにもあった、
" 一麹ニ酛三造り "
(一こうじ、二もと、三つくり)とは。
これは、酒造りの中で重要な工程を端的に示した言葉です。
1・麹 麹を作る
2・もと 酒母 ( 日本酒を生み出す源 )
3・つくり もろみの発酵:日本酒の前段階
→ 発酵後この”もろみ”を濾したものが皆さんご存知の”お酒”です。
日本酒ができるまでには10以上の工程がありますが、上記の3つは、その中でも中枢の部分を担う特に重要な製造過程です!今回は、その3つの工程についてお話しします。
まず、順番通り最も重要なのが「麹造り」です。
杜氏さんが最も神経を使う工程であり、
『麹の出来がその蔵の味を決める』と言われているほど。
杜氏さんはこの部屋で丸二日間カビ達をお世話し、お米のデンプンを糖に変えます。
これが日本の”国菌”とも言われているカビ、『麹菌』のお仕事です。
酒造りの期間、この部屋は32、33度に保たれ麹菌の繁殖を促します。
目に見えない生き物を扱うのは本当に至難の技。。。
麹菌が喜んで働いてくれる環境作りはかかせません!
ちなみにですが...
酒蔵に入ってはいけない菌があることを知っていますか。
・・・それは、『納豆菌』です!
納豆菌は、麹菌よりも強い力を持っているため、納豆菌の繁殖に麹菌が負けてしまうんだそうです。
畑酒造では、酒造り中一切納豆を食べないんだとか!
酒蔵見学に行く際は要注意ですね。
続いては、酒母 "しゅぼ "の部屋です。
(酛場 "もとば" とも言われる。)
酒の母と書いて、『酒母』。日本酒を生み出す源、大元です!
酵母のサンプルも見せて頂きました。
協会6号酵母、協会11号酵母など…たくさんの酵母が販売されていますが、
その中から自分の好みのものを仕入れていく訳です。
ちなみに、畑酒造では9号酵母、14号酵母を使用。
この酵母がベースになりますが、
蔵そのものに住み着く菌や、酒造りに不可欠な水など、酒造りを行う環境そのものも味に大きく影響します!
しかしながら、この少量ではお酒作りは出来ないため、このサンプルを元に二週間程かけて酵母を増幅させていきます。
これは『だき』。
酵母菌を増やす過程において欠かせない道具です。
酒母を作るタンク内の温度を下げたり上げたり。
そうして、酵母菌を繁殖させるのですが、
温度の下がり過ぎや上がり過ぎに対応するため、この”だき”にお湯や氷を入れて、タンクに浸水させ温度を調節します。
“温度が上がっていく過程” で繁殖が最も活発に! そのために、この『だき』がキーになります。
こうして最後に、『3造り』。本仕込みの部屋です。
ここでは、出来上がった酒母にお米と水と麹を分け入れる工程。
三回を、四日間かけて仕込みます。
(→ これが、三段仕込み。)
この段階では、いわゆる甘酒状態。
その後、20日~25日かけて発酵。
甘酒状態の糖を麹菌が食べて、アルコールとガスに変えていきます。
『 麹菌と言う生き物が食事をし、おならをする。』そんな感じです。笑
アルコール度数がある程度までいくと、酵母が弱って発酵がおだやかになります。
そのラインを超えると酵母が死んでしまうので、その瀬戸際でストップ!
畑酒造では、アルコール度数19度がそのライン。
こうして、ようやくお酒が出来上がります!
この瞬間まで麹菌はせっせかせっせかと働き、美味しいお酒を醸してくれています。
目に見えないところで
いろんな生き物の力が働き、
私たちの食べるものは出来ているんです。
おいしいって、本当に奇跡ですね。
今回は主に、日本酒の製造工程について
お話を伺いました。
『畑さんとこのお酒といえばこういう味!』
そう言ってもらえることが何より嬉しいとお話しされていた畑さん。
ただ好きなことに実直に、誠実に向き合う姿がなんとも印象的でした。
長年変わらぬ蔵の味は、
これまで培ってきた、職人としての経験値や勘が故。
昨今、システマチックに製造を行うような所もあれば、こうして職人の知恵や勘を頼りに今も尚、受け継がれているものがある。そのすべてが蔵それぞれの個性であり、魅力だと感じました。
本日は、素敵なお話をありがとうございました。
こちらに積み上がっているお酒は、
現在製造中の三年熟成酒。初桜さんとの共同開発だそうです!
変えずに守り続ける味もあれば、
こうして自らの楽しみの為、挑戦もやめない。
2年後が楽しみです ♪
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2021.04.29 writer | シガだね編集部