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『 妥協するくらいなら作らない。』/ 株式会社グッドワン【近江鴨・高島市】 / 坂上良一さん・永濱三智子さん

2021.11.25

writer | シガだね編集部

『 妥協するくらいなら作らない。』/ 株式会社グッドワン【近江鴨・高島市】 / 坂上良一さん・永濱三智子さん

本日は、高島市にある
『株式会社グッドワン』さんへ。

近江鴨の飼育から販売までを
自社で一貫して行われている近江鴨の生産者さんです。
そして、『 滋賀の特産品を作りたい!』と生まれた”近江鴨”。その思いとこだわりは “本物” でした。

まず、お会いした瞬間から、
何年来の友人ですか?
結成何年目のコンビですか?
と言ってしまう程に息ぴったりの両代表。笑

最高の出だしで始まった本日の取材は、
素敵なお話をたくさんお聞きすることが出来ました。じっくりお伝えして行きます!

提供画像 / 株式会社グッドワンさん

現在、自社の店舗でも近江鴨を使用中。

メニューに導入してからと言うもの、
この厳しい状況下でもお客様の反応は最高で、店舗の調子も右肩上がり!
鴨の藁焼きをはじめ、鴨皮ポン酢や鴨肉の親子丼(厳密には他人丼。笑)
などなど…導入はほんの数ヶ月前にも関わらず、どのメニューも早々に名物化する勢いです。

臭みもなくて、脂が美味しくて、
鴨好きにもそうでない人にもとってもオススメです!

提供画像 / 株式会社グッドワンさん

『 あんたの神輿なら担いだる・・・!』

提供画像 / 株式会社グッドワンさん

代表の坂上さんは、もともと鴨が大嫌いだったそうです。独特の鼻に抜ける臭みがなんとも苦手で、

“ この臭みがなければ…。”

と、その理想を叶えたのが株式会社グッドワン。今ではその概念を覆したことにより鴨が大好きになったそうです。

そもそも、この会社を立ち上げる以前も鴨屋で番頭をされていた坂上さんですが、社内での対立や様々な苦悩が重なり、会社は修正不可能な状態に…。

多くの従業員が、
『あんたの神輿やったら担いだる!』
と次々に声をあげてくれたそうです。最初は” 起業やなんて!” と渋っていた坂上さんでしたが、彼らの声に応えるようにしてこの会社を設立されました。

坂上さんの右腕として働く、営業部長の永濱さんもその当時から坂上さんと共に歩む社員さんの1人。

提供画像 / 株式会社グッドワンさん

琵琶湖の汚染問題に対応する為に実費で下水菅を通し、社員の働きやすさを考えて機器や働く環境を十分に整え、
"妥協するなら作らない!"
という芯の強さで会社を支えている坂上さん。

社長の本気度と男らしさを、正ににこの建物が証明し、会社そのものに坂上さん自身の思いが溢れています。

何よりも輝いていた、社員さん達の働く姿

まず、営業部長の永濱さんが
案内してくださったのは食肉加工場です。
一次二次処理を終えて運ばれてくるお肉に、
細かな処理を施し、解体作業を行っていく場です。

写真に写るのは、
この場の責任者である "西下さん”。
肉を切らせたら右に出るものはいないと
坂上さんお墨付きの社員さんです!

では、西下さんのご説明を元に
それぞれの工程についてお話していきます。

❶【 羽処理 】
羽処理は梱包作業での点検を含めると4段階。ここでは、一次二次処理で抜ききれなかった細かい毛をピンセットでひたすら綺麗にしていきます。

海外産の鴨を仕入れる場合、羽が処理されきらずに送られてくる事が多く、納品されてからその処理を行うことがほとんど。しかし、近江鴨に関してはその手間は全く必要ありません!

4度の羽処理により、ほとんど残すことなく処理されています。妥協のない作業工程に、頭が上がりません。。。

そして、もう既に分かりますよね。
価値が高いはず!美味しいはず!....と言うことに。

❷【 冷却 】
その後は、目の前にある冷蔵庫で冷却。

この段階で、永濱さんが教えてくださったのは、足裏 (モミジ)の綺麗さでした。タコのない、ふかふかの足裏なんです。

提供画像 / 株式会社グッドワンさん

この理由は、
流れを遡ること養鶏場でのお話。

鴨が快適に過ごせるよう、床材のチップに工夫がなされています。
国産合鴨飼育初!「初好気性微生物」の働きにより、いつも床はふかふか清潔で快適に。
1平方メートル当たり10羽以下のゆったり平飼いで、よく歩く彼らの筋肉は発達し、肉の旨味はぐんぐん上昇!鴨への愛情から、試行錯誤された結果が美味しさにも繋がっています。

❸ 【 解体作業 】
次は、最も技術のいる加工工程。

一般的には解体する際、先に内臓を抜いてしまうそうですが、その段階が最も汚染リスクを伴うため、ここでは屠殺の段階からお肉になるまで、一切その内臓部分を傷付けない方法で処理が進められています。

だからこそ!
ここは技術のいる作業工程なんですね。

そして、この食肉加工場の最後は、

❹ 【 解体作業2 】
”鴨ロース”が生まれる工程です。

見てください、この綺麗な切り身!
見て取れる美しさ、美味しさ…。
そしてまた、迷いも無駄もない社員さん達の手捌きに、思わず目を奪われてしまいました。

余談ですが、この処理段階で生まれる鴨皮・脂皮は湯引きし、鴨皮ポン酢として店舗で提供中です。人気メニューの一つで、鴨肉よりも先に皮が無くなってしまうなんて日も。笑

そして、梱包作業に移ります。

解体の終わったお肉がここで検品され、
真空梱包、凍結保存、商品化と進められて行きます。

この工程の中で、印象に残っているのは凍結工程。鴨肉の場合は1日寝かした方が肉の赤みが増し、身が引き締まるためより旨みが増すのだそうです!

仕入れ先のお店によっては、納品されてから二、三日寝かすという活用法も。

本当に手入れと整備が隅々まで行き届いた場所。果てしないこだわりに、スタッフ一同圧倒され続けていました。

そして今回!なんと、一次・二次処理室も見せて頂けることに。
稼働時間は早朝なので、普段は加工場と並行して見ることは出来ませんが、代表の坂上さんが特別に案内してくださいました。

脱毛機

脱毛ワックス

この場所は、特に社員の働きやすさが重視された空間。それには、『 汚いから!重労働だから!』という働き手の声をいかに無くせるかと言う社長の狙いがあったそうです。
。。。素敵すぎます。。。

そして、その思いに応えるように、一生懸命自分が輝ける場で役目を果たし、責務を担う社員さん達の姿。私達はその姿に最も心を動かされたと言っても過言ではありません。

会社をやっていて良かった瞬間

提供画像 / 株式会社グッドワンさん

この施設内には、社長が全ての工程を見渡せる窓があるそうなんです。もちろん、坂上さんも作業は一次処理から毎回一緒に行われています。その中で、養鶏場の様子、加工場の様子、生体そのもの調子….など、変化や違和感は、気づいた瞬間すぐにフィードバックしているそうです。

そんな坂上さんのこだわりとやり甲斐を表す、印象深いお話を二つご紹介します。

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ある日、誰もいないはずの時間帯にその窓からチラッと加工場が見えて。
“ 誰かおんなぁ〜 “ と思ってたんですよ。
そしたらね、西下が胸肉を持って立っとるんですわ。

『何してんねん。』

って言うたら…

『社長…。良い肉できました。』

って言いよるんです。

このとき僕ね、
会社やってて良かったな〜と思ったんですよね〜…。

それに、うちの従業員はみんな肉買って帰りよるんですよ。自分らが食べて美味しい、僕らが買って帰って食べようと思うんなら、お客さんに出しても大丈夫やわ。と思うんですよね。これからもそこを一番大事にしていきたいんです。

週末や連休前になると
みんなが買って帰りよるから、

“ お前らが買って帰ってどうすんねん!”
とかっていつも言うてますわ。笑

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こんな風に厳しくも暖かい坂上さんの思いは
しっかり社員さん達に受け継がれていました。


そしてまた、会社についてだけでなく、
自身の経験から食に対する熱い思いも。

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僕、貧乏やったんですよ。

僕が初めて焼肉を食べたのは、19のとき。
当時働いていた会社の社長が連れて行ってくれたんです。

衝撃でした。なんだこの美味しい食べ物は、と。それで僕聞いたんですよね、

『社長、毎日焼肉を食べるにはどうしたらいいですか。』

って。そしたらね、

『仕事頑張ったらええねん。それだけや。』

って言われたんですよ。そうか!って。

だから僕は、1ヶ月に一回、1週間に一回、3日に一回!美味しいもん食べてやる!ってその気持ちだけで仕事頑張ってきました。

“ 食べ物って、人に勇気と幸せを齎せるもんやと思うんです。”

だからこそ、いいものにこだわりつづけて、
いいものを生み出すことに命をかけてる。
“ 妥協するくらいならやらない。作らない。”
その一心でこだわり抜いているんです。

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誰しもが、その言葉に強く共感しました。

魅力に溢れる近江鴨を作るのは、何に変えようそこで輝く社員の皆さん。どれをとっても、見習う事の多さに脱帽です。

こうして考えると、
私達が生産者の方々に貢献できる事など
ほんのわずかなのかもしれません。

それでも、私達は私達なりのやり方で
街を、人を、食材を、支えていきたいと思いますし、そのプロセスで生まれる多くの繋がりに感謝しながら滋賀の食文化を盛り上げていきたいです。

これからも、同じ滋賀の街で活躍する
素敵な人々との出会いに夢を膨らませ、
滋賀と共に、作り手の皆さんと共に、近江食材と共に歩んでいきたいと思います!

素敵な時間を、本当にありがとうございました!

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『 妥協するくらいなら作らない。』/ 株式会社グッドワン【近江鴨・高島市】 / 坂上良一さん・永濱三智子さん

2021.11.25 writer | シガだね編集部